【めがね橋店】今月の店長のオススメ(2022年3月)

読み物

タイトル
新編 日本の面影
著者
ラフカディオ・ハーン 訳者:池田雅之
出版社
角川ソフィア文庫

「耳なし芳一の話」「むじな」「ろくろ首」「雪女」など日本古来の怪談を収録した怪奇短篇集「怪談」の作者・小泉八雲として有名なギリシャ生まれの作家で

あるラフカディオ・ハーン。本書は、日本を愛した作家であり民俗学者でもあるハーンが1890年に来日してから初めて書いた作品集「知られぬ日本の面影」の中から選ばれた11篇が収録されています。

私が特に印象的だったのは、日本人が口元にたたえる微笑の謎から、ハーンなりに考える日本人の本質にアプローチした「日本人の微笑」です。ハーンの目線を通して語られる日本人は非常に思慮深くミステリアスで、不思議な気持ちになると同時に「この時期のハーンは、日本に対して恋に似たロマンチックな誤解をどこかに抱いていたのかもしれないな」という印象を持ちました。「怪談」と並ぶハーンの代表作です♪

 

コミック

タイトル
COPPELION コッペリオン
著者
井上智徳
出版社
講談社ヤンマガKC

残留放射能に満ちて無人の異界となった近未来(2036年)の東京都内を舞台に、遺伝子改造により誕生した放射能抗体を持つ子供たちの特殊部隊「コッペリオン」が、生存者の救出活動を行う近未来アクション漫画です。

2010年にアニメ化が決定されたものの、東日本大震災や福島第一原子力発電所事故など、物語の世界観と重なる出来事の発生により、放送までに約3年かかる不運に見舞われた作品でもあります。
政治・外交・企業に対する風刺が所々に見られながらもコミカルな表現がされており、冒険活劇としても魅力ある作品です。

第1巻が発売された2008年から14年が経ち、日本・世界の情勢も大きく変化しました。2022年を生きる私たちが読むことで、作者が作品に潜ませた様々なメッセージを読み取ることができるのではないか、と感じる作品です。

 

その他:単行本

タイトル
マッチで旅するヨーロッパ
著者
松本貢実子/BUSY TOWN
出版社
ピエ・ブックス

今ではあまり姿を見なくなったアイテム「マッチ」ですが、昔はお店のサービス品やメーカーの商品として、いろいろなデザインのマッチがありました。
2007年に発売されたこちらの「マッチで旅するヨーロッパ」は、主に1950-60年代のヨーロッパのレトロマッチラベルを800点以上収録した楽しい本です♪

今はもう存在しない国や、別の会社と合併してしまった企業などのマッチも載っており、「かわいい!」だけではない時代背景を感じる奥深いコレクションとなっております。