「咲」と「花笑み」

蕾ほころぶ桜の様子が気になる季節となりました。真っ青な空を背景に、光を受けてすっきりと伸びる蕾をみていると、頭の中に自然とこれから咲く様子が思い浮かび、とても華やかな気持ちになります。

桜の化身として有名なのが、日本神話に登場する「木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)」です。「桜(サクラ)」の「サ」は穀霊(田の神)を、「クラ」は神座を意味します。田植えの時期を知らせる時期に花を咲かせる桜は、「穀霊の依代となり農耕の豊穣を占う神聖な樹木」とみなされてきました。山の神の娘であり、稲穂の神である「邇邇芸命(ニニギノミコト)」と結婚した女神にぴったりですね。

「木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)」の神名の意味をひもとくと、「木(桜)の花が咲くように咲き栄える美しさを持つ女性」となります。

ところで、「花笑み」という大和言葉をご存知ですか。ふだんあまり使うような言葉ではありませんが、小説などの表現として目にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。「咲」は本来「わらう」という意味を持つそうで、『花が咲くこと』『蕾がほころぶこと』だけではなく、『咲いた花のような笑顔』『人が微笑んでいる様子』のことを「花笑み」と言います。

日本語も、日本の神話も、なんて豊かなのでしょうか。しみじみと感じ入ります。春を迎えるこの季節の、春を豊かにするような本を探しに、ぜひほんだらけにお越しください。ほんだらけは『あなたの街の古本屋』です。なかなか他のお店では見つからない、珍しい本や、懐かしい本も多数取り揃えております。ぜひ本棚と本棚のあいだを散策してみてくださいね。心の中の蕾に栄養を与えて、花咲く毎日を手に入れましょう。