『甘酒』は、夏の季語!?

今年の夏も、酷暑になることが予想されており、連日暑さ対策が報じられていますね。昨今、熱中症対策や、美容・健康飲料のひとつとして「甘酒」が見直され、コンビニやスーパーでも手軽に手に入れられるようになりました。

一夜酒 隣の子迄来たりけり (小林一茶)

俳句の世界で、「甘酒」は夏の季語です。お正月の参拝のときに振る舞われるものとして、冬のイメージも強い飲み物だと思います。

甘酒の多くは、お米を発酵させ、一晩密封することで出来上がります。一夜でできあがることから一夜酒ともいわれてきました。

甘酒のルーツといわれるお酒は様々です。日本武尊(ヤマトタケルノミコト)に感謝した村人が献上した濁り酒も甘酒の一種であるといわれ、「万葉集」には、山上憶良によって『糟湯酒』は「冬に身体を温める飲み物」として歌に詠まれています。「日本書紀」にも、有名な逸話がふたつあります。ひとつは、吉野の民が、応神天皇に献上した『醴酒』。もうひとつが、木花咲耶姫が結婚し、一夜で子を成した祝いとして、祭りで醸してふるまわれた『天甜酒』です。

木花咲耶姫の「木の花」が梅の花の雅称であることや、一夜で子を成したことから、江戸時代は甘酒(一夜酒)屋のしるしとして、梅鉢の看板が掲げられていました。

甘酒は、脳や体のエネルギー源となるブドウ糖や、疲労回復の効果も期待できるアミノ酸、天然ビタミンを豊富に含み、「総合栄養ドリンク」「飲む点滴」と呼ばれるほどの優れものです。

その高い効用から、甘酒の売値が高騰して貧しい人々に行きわたらなくならぬよう、幕府が甘酒の価格制限をしていたほどで、江戸時代以降、関東では四季を問わず飲まれる手頃なおやつとして定着しました。

夏の飲み物から、冬の飲み物となり、また夏の飲み物となり、四季を問わずに飲まれるほど広まり、行事食として以外は廃れたあと、今また一年を通して飲まれるようになりました。

「本は心のごはんです」

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