2019年は、1月1日に元旦を迎え、4月1日に新元号が発表され、5月1日に元年が始まりました。「元旦・元号・元年」と、「元」という字とともに、心機一転する機会が多い年であったように感じます。
漢字には、日常生活でよく使われ、広く知られた意味以外にも、いろいろな意味が込められています。「元」という漢字には、「もと、根源」「はじめ」「第一」という意味のほかに、「天(天地の気)」「大きい」「よい(善)、正しい、美しい」という意味があり、令和の「令」という漢字には、「命令」「法律・掟」という意味以外にも、「よい・立派な・優れた」という意味があるそうです。
令和という元号が決まった際に、様々な人々が様々な意見を述べているのを知った時、漢字をみたときの「印象」は、その人の持つ「知識の量」で変わるのだなあということを、改めて感じました。文字自体が意味を持つ「表意文字」の世界は、広く、そしてその文字が連なった「本」の世界は、果てしないですね。
令和元年が終わり、令和2年2020年の元旦を迎えようとしています。大きな区切りの年である2020年は、きっといままで以上に新しい景色に出会える新鮮な1年になるのではないかと思います。
テレビやSNSで興味をもった出来事は、そのまま流してしまうのではなく、「本」を読むことで情報を掘り下げてみてはいかがでしょうか。きっとそこには、今まで以上に豊かで美しい世界が広がっていることでしょう。
ほんだらけでは、『本は心のご飯です』をモットーに、本のソムリエが、心を込めて本をご紹介しています。あなたが見つめる世界を豊かで美しいものにするお手伝いをさせてください。本年は大変お世話になりました。どうぞよい年をお迎えください。
出版社: 童心社 著者:松谷 みよ子、イラスト:黒井 健
むかし、笠作りのおじいさんとおばあさんがいました。ある年の暮れ、新年のためのお餅を買うこともできません。笠を売りにいったおじいさんは、なかなか笠が売れず、とぼとぼと帰路についていました。すると・・・。
昔は、大晦日にその年の支払いをしていました。今ほど豊かではなかった昔の人が、 年末を無事乗り切り、夜逃げもせず、お正月を迎えるのはとても大変だったことが、このお話しからもうかがえます。年末の挨拶「よいお年を(お迎えください)」という言葉には、慰労と鼓舞、願いがこめられているそうです。
苦しくつらい状況の中でも、優しくて良い行いをしたおじいさんとおばあさんは、良い新年を迎えることができました…という、とってもシンプルなお話しを、松谷みよ子さんの優しい言葉と、黒井健さんの美しい雪景色が包み込んでいます。