10月の終わりから、いよいよ読書週間が始まります。
今年の読書週間の標語は、「おかえり、栞の場所で待ってるよ」です。
しおりとは、もとは山道を歩くときなどの目印としたもののことを言いました。草を撓(たわ)ませたり(撓-しほる)、木の枝を折ったり(枝折)、草に紙を結び付けたりして、道の案内や手引きとしました。転じて、読みかけの書物にしるしとするものや、初心者としての手引書などもしおりと呼ぶようになりました。
栞には、紙、布、糸、または木、竹、皮、押し花、セルロイド、金属などの薄板。または、本にはじめからとりつけてある、平織の布(栞紐・スピン)があります。数え方も、一枚、一葉、一片、一本と、なんだか詩的です。
こどもの頃は、本を一度読み始めるとどうしても止まらず、栞を使う間もなく読み終わっていました。そのころは「栞」は、なんだか大人のアイテムのようで、憧れの気持ちを抱いていました。
大人になり、時間を縫うように少しずつ読み進めていると、栞を使う機会も増えてきました。こどもの頃とは変わってしまったな、という一抹の寂しさを覚えるとともに……大人になり、本との調度よい付き合い方が出来るようになったのかな、とも思います。
どれ、読みさしへ 仕折(しをり)して、夕飯の支度しませうか (児雷也豪傑譚話)
忙しない日常の中で、本は、わたしたちがページを開くまで、そっと待っていてくれます。ぜひ、お近くのほんだらけへお立ち寄りください。本のソムリエが、ステキな本を取り揃えて、あなたをお待ちしております。
史上初「直木賞」「本屋大賞」W受賞作☆ 2019年10月に映画化されます♪
ハードカバー版は上下段で計507頁、文庫版は上巻454頁+下巻508頁=962頁という大著です。手に取るとずしりと重いですが、内容は若々しく煌めいていて、軽やかで読みやすいです。
一息に読むには長いと感じる方は、栞を挟みながら、ゆっくりと読んでみてはいかがですか?