「読書の秋」と「三四郎」

夜が長くなり、朝晩もずいぶんと涼しくなりました。涼しくなると、頁をめくる手もはかどります。同じような思いを綴った四字熟語が、「燈火可親(灯火親しむべく)」で、読書の秋を意味します。

秋になり、長雨も晴れ、涼しさが郊外の村にやってきた。灯火もようやく親しめるようになったので、夜、巻物をひもとくのにふさわしい。韓愈「符読書城南」

この四字熟語は、中国の文豪、韓愈が息子に宛てた手紙が由来です。息子に読書を薦める美しい言葉が、学ぶことの大切さを語る思いとともに、伝わります。

日本では、漱石の『三四郎』の中で引用され、日本に広まり始めました。

そのうち与次郎の尻が次第に落ち付いて来て、燈火親しむべしなどといふ漢語さへ借用して嬉しがる様になった。夏目漱石「三四郎」

その後、大正時代に初めて開催された読書週間で、「灯火親しむべし」という言葉を用い、広めたことから「読書の秋」のイメージは始まったと言われています。読書週間は、毎年10/27~11/9に開催されます。

「本は心のごはんです」

 2022年の読書週間の標語は、「この一冊に、ありがとう」です。

ありがとう、と言いたくなるような感動を与えてくれる本。わくわくとした気持ちに出会える、おもしろい物語。こころの底をじんわりとあたためてくれるような思い出の本などが、ほんだらけにはございます。

お近くにお越しの際は、ぜひほんだらけへお立ち寄りください。