歳神様を迎える、神事の供物『年越魚』

早いもので、いよいよ12月。脂がのった魚が、とても美味しい季節ですね。年末年始に人が集まると、美味しい魚に舌鼓を打つイメージがあります。

その昔、歳神様を迎える大晦日の夕食には、『年越魚(年取魚)』を食べる風習がありました。海から離れた地域では、魚は年末年始など、「ハレの日」にしか食べられない貴重なものだったのです。地域によって魚は異なりましたが、東日本では主に鮭が、関西では主に鰤が、中間に位置する関東では鰤か鮭のどちらかが用いられることが多かったと言われています。

松を火に焚く いろりのそばで
夜はよもやま 話がはずむ
母がてぎわの 大根なます
これがいなかの 年越しざかな…

宮沢賢治は、『十月の末』という作品の中で、少年が『ゐなかの四季』を音読する様子を描いています。100年ほど昔の岩手の村で、文明の穢れに染まらぬ純朴な三世代家族が、長閑な日常を送る様子を描いた作品。そのあたたかな様子をあらわすのに、ぴったりの歌だと感じます。

今年も残すところあとわずかとなりました。健やかに新年を迎えられるよう、年末の大掃除をされた際、不要になった本等がございましたら、ぜひほんだらけへお持ちください。

ほんだらけでは、皆様のお越しを心よりお待ちしております。