童は見たり 野なかの薔薇

秋薔薇が薫る季節となりました。花の女王とも称される華麗で美しい薔薇の花ですが、その系譜をさかのぼると、小さく可憐な野薔薇のご先祖様に行きつくと言われています。最初に薔薇が日本に伝わったのは、奈良時代。中国で「垣根(薔)」「風にそよぐこと(薇)」という意味を持っていた言葉は、日本に伝来し、高貴な人々に愛されながら、「薔薇(そうび)」と呼ばれるようになりました。

薔薇(さうび)は、近くて、枝のさまなどはむつかしけれど、をかし。雨など晴れゆきたる水の面、黒木のはしなどの面に、乱れ咲きたる夕映え。(枕草子(能因本))

薔薇は、近くにあると、枝の様子がわずらわしいけれど、美しい。雨が止んで晴れてゆく水辺や、黒木のはしなどのあたりに、乱れ咲いている夕映えも。

童は見たり 野なかの薔薇 清らに咲ける その色 愛(め)でつ

飽かずながむ 紅(くれなゐ)にほふ 野なかの薔薇 (ゲーテ/近藤朔風訳)

ゲーテの詩でも、枕草子でも、立ち止まってゆっくりと薔薇を愛でる様子が伺えます。

『Stop And Smell The Roses (バラの香りを)

リンゴ・スターのソロアルバムの名前としても有名な言葉です。直訳すると、「立ち止まり、バラの香りをかぐ」ですが、「今を大切にする」「人生を楽しむ」という意味で用いられます。あくせくと働く人々に、「身近にある幸せに目を向けようよ」と声をかけるときによく使われるそうです。

11月はせわしなく、あっという間に冬が訪れます。今年ももうすぐ終わりですね。あくせくとした気分になるときは『Stop And Smell The Roses』。少し空を見上げたり、道端の植物を眺めたり、1~2頁でもよいから本を読んだりして、ほっと一息、ついてみませんか?

 「本は心のごはんです」

本のソムリエであるわたしたちは、本との出会いを楽しむことで、みなさまに心の安らぎを感じていただきたいと願っています。本のソムリエがステキな本を取り揃えて、あなたのお越しをお待ちしております。

☆冬の早得情報☆

読み終わった本は是非、ほんだらけにお持ち下さい。読書の秋、蔵書の整理を始めてみませんか? 12月になりますと、本を売りに来られる方が急増し、沢山の本が入荷します。お値段は在庫数によって変動しますので、お早目にご来店頂いた方が金額UPの可能性大です。せわしなくなる前に、ぜひほんだらけにお立ち寄りください。