「水無月」という言葉の中に、物語や歴史、願いがあります。

紫陽花もキレイに色づいています。早いもので、もう6月。一年の折り返しですね。

梅雨なのに、水無月?と思うかたもいらっしゃるかもしれませんが、「水無月」には「水の月」という意味があるとも言われています。また古来、蒸し暑く体力も消耗しやすい夏を前に、氷を食べる「みな月」という宮中の行事がありました。ただ、庶民にとって氷は高級品。主に西日本にて、三角形のういろうの上に、小豆を載せた和菓子「水無月」は生み出されました。透明感のある白いういろうで、切り出された氷を表現し、邪気を祓う「小豆(魔滅=まめ)」を口にすることで、英気を養い、新年から6月までに受けた厄を祓っていたと言われています。

デパートや和菓子屋さんでみかける和菓子は、形も名前も美しく、その由来もとても文学的です。厄除けや魔除けの供物として、儀式や節句に使われてきたものも数多あります。

なにも知らなければ、少し地味に見える和菓子。でも、感受性を広げ、よく観察し、歴史を紐解き、人々の変わらぬ願いに思いを馳せると、またちがった一面を見せてくれます。

本は心のご飯です。本には、「楽しさ」や「学び」があります。休日前の日には、お仕事帰り・学校帰り・お買い物のついでに、ほんだらけで気になる本を1冊、選んでみてはいかがでしょうか? 室内で過ごす穏やかな休日に、新鮮な発見を与えてくれるのではないかと思います。